総長さんが甘やかしてくる③
「そうか」
まぶたを閉じたカスミに
俺は――……
「っ、いったあ……!?」
デコピンを、くらわせた。
「流されてたまるかよ」
呆気にとられる、カスミ。
「はやく吐け。幻は、どこにいる」
「アンタ、ねえ。……それが、人にモノを頼む態度?」
デコに手をあて、不満げな表情を見て思う。
「君は。そういう顔をしている方がいいな」
「……はあ?」
「答えを渋るというなら――」
カスミの両手首を片手でおさえ、もう一方の手で脇腹をくすぐる。
「ちょっと……ねえっ……ダメ、くすぐったい!」
「はやく言え」
「やめてよ、バカ」
「俺だってヤりたくてしてるわけではない」
「あっ……ん……、もっと、優しくして?」
「っ、ヘンな声出すんじゃねえ」
「うろたえてるし」
「うるせえ」
「ドウテー」
「ああン!?」
「こんなことで、あたしがアンタの言いなりになると思ったら大間違いだからね」
「なにをヤケになっている」
「……!」
目を見開く、カスミ。
「俺と。本気で、そういうことがしたいわけじゃないだろう?」