総長さんが甘やかしてくる③
目をつむったとき
微かに、震えていたよな。
あれは本気で俺のことを怖がっていたように見えた。
なのに口では誘うようなことを言っている。
「約束しよう」
「……やくそく?」
「信念を曲げない範囲なら、君の望みは俺がなんだって聞き入れる」
「は?」
「ただし、今夜は時間がない。なので俺をコキ使いたいなら……そうだな。明日以降が望ましいわけだが。できれば定期テストが終わった頃で頼む」
「意味わかんない。敵チームの姫に黒梦のナンバー2が顎で使われていいっての?」
「人として頭をさげている」
「……っ!」
これは、俺個人の頼みでもある。
幻がなにかを抱えているというなら。
友人として、彼を救いたいんだ。
一人で突っ走るんじゃねーよ。
「だから。心当たりがあるなら、正直に話して欲しい」
俺の言葉に、
戦意を失うように歪に笑ってみせたあと
カスミがつぶやいた。
「これだから男は」