総長さんが甘やかしてくる③

本当に、わからない。

どうして今度は望んで俺を求めてくる?


「まあ。あたし、初めてだから。男的には、正直そういう子の相手するのは面倒だよね」

「…………は?」

「うーわ、ひどい。今、こんな遊んでそうなやつがって思ったでしょ」


膨れっツラになるカスミ。


「いや、そんなことは思っていない」

「いいよー。あたし学校では、ビッチってカゲグチ叩かれてるし」

「……なんだと?」

「木良といるとこ見たファンが。妬んで悪い噂、広めたんだろうねー」


敵視してきたと思ったら

こんな風に素で接してきて。


まるで、つかめない。


「シュウなら練習相手にちょうどいいかなと思ったんだけど。もういい。適当に、誰かに頼むから」

「バカなこと考えるのは、やめろ」

「えー……。止めるの?」

「君が幻の大切な人だということは理解した」

「大切な人じゃ。なかったら?」

「それでも、止める」

「夕烏ちゃんを傷つけたのに?」

「ああ。二度と傷つけないと約束してくれ」

< 163 / 272 >

この作品をシェア

pagetop