総長さんが甘やかしてくる③


「急ぐことはない。きっと。いや、必ず時間が解決してくれる」

「どのくらいかかるの」

「それは人によるだろう。俺が断言できることではない」

「誤魔化すのはいけないこと?」

「どうだろうな。適当な相手との曖昧な関係で心から満足できるタイプの人間ならそれでも満たされるかもしれないが。君はそうは見えない。君には、ちゃんと幸せになって欲しい。そういう相手を選んで」

「誰目線なの」

「……俺にもわからないが。そう感じた」

「どこの時代の男よ」

「時代遅れで悪かったな。とにかく君は女子なんだから、警戒しろ」

「もはや。親みたい」

「……仲間からも言われる」

「なにを?」

「認めたくはないが。俺は。どうやら、オカン気質らしい」

「……オカン?」

「基本的には面倒ごとに関わらないんだが。ときにお節介なところがあるせいだろうか。あとは、まあ。エプロン姿……とかな」

「ウケる。その顔でエプロンしてキッチンに立つの? お米といだり?」

「っ、普通だろう。一人で暮らしてりゃあ、そのくらい」

「だとしても、しないでしょ。エプロンまでは。さすがに。あはは」

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