総長さんが甘やかしてくる③
お世辞にも上品とは言えない
偽りのないカスミの笑顔を、綺麗だと感じた。
「ほら。笑わせてやったついでに、幻の居場所教えろや」
「生意気な男って。だいきらーい」
その男とキスしようとしたのは、
どこの誰だっつーんだよ。クソが。
「……オシエテクダサイ」
燐ほど扱いづらいヤツはいないと思っていたが。
このカスミという女子も、たいがいだな。
女子相手に力で脅すわけにもいかねーし。
女の武器、持ち合わせすぎ……
という意味では厄介極まりない。
「ひょっとして、仲間。下で待たせてるとか?」
「ああ」
「ふーん」
「いちゃわりいかよ」
「……そこに。黒梦の姫もいる?」
少女が、俺をまっすぐに見つめてくる。
「ああ」
「シュウは。あたしから情報聞いたら姫の元に戻るんだ?」
「そうなるな」
「ウソ、教えるかもしれないよ」
「君は嘘をつけない」
「え?」
「君だって、幻を救いたいはずだ」
「……なに、言ってるの」
「あいつを助けてやりたい気持ちは。君も同じはずだ」