総長さんが甘やかしてくる③


ヤバそうなら、ひとまず叫ぶ。


お父さんが隣にいるはずだから。


ただ、

頼りになるかと言われたら微妙かな。


ダメ親父は今夜も酒を飲んでいるだろう。


そうなると、やはりこのピンチは

自分で切り抜けるしかないわけで――


「頼む」


そっと、肩を揺さぶられ

丁寧に扱われているというのが、伝わってきた。


どうやら、あたしに用があるらしい。


だったら――


「ん……」


ゆっくりとまぶたを開け

怯えてみせて


油断しきったところで、

形勢逆転を狙えばいい。


「君に、どうしても尋ねたいことがある」

「え……」


なんで、ここに


「誤解するなよ。怪しいもんじゃない。そこで、菊地さんに入室の許可はもらってきた」

「…………誰なの?」


黒梦のシュウが、いるの。

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