総長さんが甘やかしてくる③


「……乱暴?」


だから、離れてよ。

幻から。

黒梦から。


「幻呼吸止められるかと思ったんだよね」


すごく、苦しかった。


息ができなかったことよりも。

幻に、敵意を向けられたことが。


「幻ってさ。あの子のためなら、なんだってしちゃうんだろうね?」


あたしが、あの子に酷いことしたら

……あたしのこと消しちゃうのかな。


「取り乱してるとこ。初めて、見た」


あたしのためには
あんな風には、なってくれない。


「最終的には、折れてくれたよ。あたしに、とびきりの思い出つくってくれたの」


好きだよ、幻。

この気持ちを伝えることは、できなかったけど。


あたしの幸せ願ってくれてありがとう。

でもね。 


…………いらないかも。


あなたがくれる幸せが、欲しかった。

幻と幸せになりたかった。


諦めきれなかった。


だけどあなたには、

心に決めた子ができてしまった。


もう、あたし

どうしていいかわからないよ。


「君の言葉は信用できない」


――――!


「敵だから?」

「君が、うちの姫を悲しませたからだ」
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