総長さんが甘やかしてくる③
ああ、そっか。
あの子は。
…………大切にされているんだね。
あたしはちがう。
姫は姫でも、
囮に使われたり
周りの男からやらしい目で見られるような、くだらない存在。
それでも幻に近づけると思ったから
木良に、ついた。
なるんじゃ、なかった。
なったからには。引き返せない。
「へえ。みんなから愛されてるんだ、“夕烏ちゃん”は」
「っ、おい……」
――――バラバラに、なればいいのに
「幻の居場所に、心当たりある」
ぜんぶ
「遊ぼ?」
…………ぜんぶ。