総長さんが甘やかしてくる③
「あのときの続き。したかったのになあ」
同じ布団で眠って
指一本触れてくれなかった、あの夜の続きが。
したいよ、幻。
一度だけでいいから甘えさせてよ。
大切にしてもらってるのに
こんなに苦しくなるの、
なんでだろうね?
勇気出せば、変わっていたのかな。
「シュウくんさ。体格、いいよね。顔も、よく見ると、けっこータイプかも」
こんな風に
幻に、迫ることができたならば。
「いい加減。離れてくれ――」
一夜の過ちだけでも起こして
思い出にすること、できたかな?
「あたしのこと満足させてよ」
「なんだと?」
「交換条件だよ。でなきゃ、教えてあげない」
苦しい。
「なにを考えている」
「わかるでしょ?」
苦しいの。
「男と女が、二人きりで。ベッドの上ですることなんて。ひとつしかない」
シュウみたいな人なら。
優しく、してくれそう。
たとえ気持ちがなくても。
乱暴なことはしないよね。
「バカなこと言うな。会ったばかりの相手だぞ」
欲しがってよ。
「切なくて、仕方ないの」
この想いをどうやって消化させればいいか、わかんないの。
「……拒否権は、ないらしいな」