総長さんが甘やかしてくる③
ふ……ざ、けるな。
「はやく吐け。幻は、どこにいる」
さっきまでの優男はどこにいったの?
あたしを見下ろしていたのは、なんともガラの悪い男。
少女漫画のヒーローみたいな雰囲気、すっかり消しちゃって。
なんなの。コイツ。
「アンタ、ねえ。……それが、人にモノを頼む態度?」
「君は。そういう顔をしている方がいいな」
なっ…………
(なに、その笑顔)
さっきまで眉間にシワを寄せていたのに。
いきなり、笑うな。
「答えを渋るというなら――」
両手首を片手でおさえられ、カラダをくすぐられる。
「ちょっと……ねえっ……ダメ、くすぐったい!」
「はやく言え」
「やめてよ、バカ」
すごい、力。
抵抗して初めて、この男の本来の強さを知る。
びくともしない。
これでも、それなりに男だって倒してきたんだよ?