総長さんが甘やかしてくる③


「あっ……ん……、もっと、優しくして?」

「っ、ヘンな声出すんじゃねえ」


もっとも

女の武器には、めっぽう弱いらしいけど。


「うろたえてるし」


あたしの

……たいしてセクシーでもない声で。


バカ、なのかな。


「うるせえ」


ヘンな男。


「ドウテー」

「ああン!?」


図星なんだ。

ふーん。

まあ、あたしも……経験ないけどさ。


「こんなことで、あたしがアンタの言いなりになると思ったら大間違いだからね」

「俺だってヤりたくてしてるわけではない」

「なら。こんなことせずに。さっさとあたしを抱けば?」


悪い話じゃないよね。

アンタだって、
はやく捨てたいんじゃない?


あたしは捨てたい。今すぐにでも。


幻のために、とっておく必要

もうなくなったから――


「なにをヤケになっている」

「……!」

「俺と。本気でしたいわけじゃないだろう?」


当たり前でしょ。

別にシュウじゃなくてもいい。


……優しくしてくれるなら。


ううん。


いっそ、めちゃくちゃにされたほうが

あたしの中の幻が消えてくれたりするのかな?


「どうしても追いかけなきゃならないんだ、アイツを」


この状況で

あたしより余裕あんの、ムカつくんだけど。

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