総長さんが甘やかしてくる③

「かわいいじゃん」

「バカにしてるのか？」

「キスひとつで欲しい情報手に入るなら、安くない？」


素直にお願いできたら、いいのに。

して欲しいって。


「あのなあ」


そこまで嫌がってないよね？


それともこれは

あたしの勘違い、なのかな。


「減るものでもないよね」


してくれたら、あたし

幻以外の男に

初めて、恋ができるかもしれない。


「……俺は、黒梦の人間だ。羅刹の姫と関係を持ってみろ。それだけで大問題だ」

「二人だけのナイショにしよ？」


秘密、作ろうよ。


「しない」


はあ。

ブレないなあ。


だからこそ、シュウに頼んでしまうのかもしれない。


「まあ。あたし、初めてだから。男的には、正直そういう子の相手するのは面倒だよね」

「…………は？」

「うーわ、ひどい。今、こんな遊んでそうなやつがって思ったでしょ」


誰にでも言わないし。


「いや、そんなことは思っていない」

「いいよー。あたし学校では、ビッチってカゲグチ叩かれてるし」

「……なんだと？」

「木良といるとこ見たファンが。妬んで悪い噂、広めたんだろうねー」


って

どうしてこんな話、シュウにしてるんだろ。


「もういい。適当に、誰かに頼むから」