総長さんが甘やかしてくる③
「夢みたい!!」
「…………」
「ねえ。聞いてる?」
「その話、聞き飽きた」
「だって。うちに、あの幻がいるんだよ」
幼なじみのかすみは、黒梦の幻の大ファン。
それを知っていたからこそ
幻に、かすみのオヤジさんの家に住んでみたらって提案したわけなんだけど。
「遊びに行っちゃダメかな!?」
「いーんじゃないの」
「また、木良は。適当なこと言って」
「行きたいなら行けばいいだろ」
「行ってどうするの?」
「それは……自分で、考えたら」
「あー。もう。寝ちゃうし」
――かすみちゃんさ、
「木良とは、こんなに普通に話せるのに」
僕の気持ち。
全然気づいてないよね。
「恋愛のテクニック。伝授してよ!」
「えー……」
「好きになってもらう方法は? どうやって女の子、取っ替え引っ替えしてるの?」
だるいなー。
まぶたをあけると
横たわる僕のすぐ近くから、愛くるしい顔で覗き込んでいる。
君に思われて落ちない男なんて、
むしろ
幻くらいしかいないんじゃないの。
「知りたい?」
「へっ」