総長さんが甘やかしてくる③


かすみが、暴走族の追っかけを始めた。


厳密に言うと、黒梦というチームの、幻という男に夢中になっていた。


まるでアイドルや芸能人を追っかけるかのように、憧れを抱いていたのだ。


幻は中学から同じ学校の、クラスは違う男子だった。


怖そうだとか。

族に入ってるやつがいるってのは、耳にしていたが。


まさか、かすみが

そんな男のトリコになるとは思わなかった。


おかしいよね。


校内では、かすみの方が、よほどアイドル扱いされてるのに。


そんな彼女が、暴走族に目をハートマークにさせるなんてさ。


「暴走族、か」

「木良も入れば?」

「僕が入りそうに見える?」

「幻はね。学校で友達作らないのに、チームの人とはよくつるんでるみたいなの」

「……僕を利用するなよ」

「楽しいかもよー、バイク」

「免許とれないしまだ」

「そこは真面目なんだ」


そうじゃないよ。


どうして僕が、
君の恋を応援しなきゃならないの。


「見た目から入ったら? 髪染めて、特攻服着て」

「だる」

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