総長さんが甘やかしてくる③
「ねえ、ユウちゃんってば。聞いてるー?」
「え?」
燐(リン)さんの声が耳に入ってきたのは、家に着いてどのくらいたってからだったろう。
「洗濯もの、たたんでおいたよ」
「助かります!」
「あとね、来て来て」
手を引かれ、
燐さんの部屋に連れて行かれると
そこにあったのは――。
「じゃーん!」
白いチェストだった。
「かわいーでしょ?」
「……はい。すっごく」
ヨーロッパ調で、取っ手部分がクリスタルみたいな透明になっていて、とてもお洒落だ。
「ユウちゃんにあげる」
「えっ……いいんですか?」
とても綺麗で新品同様に見えるけど、これも、引っ越しで持ってきたものだろうか。
愁(シュウ)さんの家にお世話になることが決まったときは、まさか、燐さんまで同居することになるなんて考えもしなかったなあ。
「いいのいいのー。かわいい子に使ってもらいたいんだ」
実を言うともう少し荷物が整理整頓できたらなって思っていた。
けれど家具を買うような贅沢、わたしには当分できっこないし――そもそもに居候の分際で愁さんの家に物を増やすのはどうなんだろうと考えていた矢先にこのプレゼントは助かります。
「ありがとうございます!」
……しかし燐さん。
もはや愁さんより私物が多いのでは?
「愁、きて〜!」