総長さんが甘やかしてくる③
かすみは、高校生になっても、幻と距離を縮めることもなく一方的にファンを続けていて。
男から告られても断って、一途に幻を離れたところから追いかけているようなやつだった。
「幻と、同じ高校行きたかったなー」
かすみは、両親の離婚や再婚もあって、幻と同じ学校には進学できなかった。
かすみと幻を繋げられるものがあるとすれば、同じチームで近い位置にいる僕しかなかった。
幻は、とにかく女っ気がないやつで。
僕が女と遊んでいて
そこに混ぜてあげると誘っても、心底どうでも良さそうにしていた。
「君から声をかければいい。日替わりで味見できるだろうから」
「……必要ない」
女を求めなかった。
――その理由を、僕は知ってしまった。