総長さんが甘やかしてくる③



あのさ、幻。


『その友達。信用できる?』

『俺よりはずっとマシな人間だ』


あのとき、僕が君に心底ムカついたのは。


僕の言葉を信じずに


ただのクラスメイトを助けに行ったからだ。


なんで?


僕と過ごした時間の方が長かったじゃないか。


僕は君が羨ましかったし憎かったけど。


「君もこっちにきて遊べば?」

「遠慮しておく」


ブレない君が。


「どうぞお好きに。君の手で汚してあげて。その様子。どっかで寝転がってみていたいものだな」

「悪趣味なやつめ」


味方に対しては、つくづく誠実な君が。


僕は、そんなに嫌いじゃなかった。


< 232 / 272 >

この作品をシェア

pagetop