総長さんが甘やかしてくる③


そもそもに

まだ、連中の息はあるのか?


今夜、羅刹を徹底的にぶっ潰すとして。


なあ、木良。

お前がそこまでキレる理由ってなんだよ。


「敵を欺くなら味方から」

「木良の敵って。誰なんだよ」

「君は、知らないもんね」

「……なにを」


たとえなにか知っていたとしても。

これは、やりすぎだろう?


一度にどれだけの人間ヤるつもりだよ。


いや、数の問題ではないが。

一人でも許されることではない。


「昔、ここで。同じくらいの数のニンゲン半殺しにしたんだ。一人で。あっという間に」

「!」

「僕じゃないよ。幻がね」


…………幻が? ここで?


「そのうちハンディキャップ抱えて生きてるやつが、三人。当時の総長と上層部」

「…………」

「みんな、その時のことを口止めされて、どこかで生きてる」


口止めされて?

それは誰からの圧力だ?


「おかしくない?」


おかしい?


「戦に負けたやつが生きてるの。納得いかないんだ」


もしかしたらコイツは

俺が考えていたよりもずっと


「特に、こいつ」


イカれたやつなんじゃ――……


「オイ。そいつ」


木良の影にいた男は

車椅子に乗り

手首と足首を縛られていて


「はじめまして、かな。ミノルくんだよ。幻が昔、絶交した友達さ」


――――ずぶ濡れじゃねえか。
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