総長さんが甘やかしてくる③
特に、ミノル。
そいつを助けてやる必要がある。
どうでもよければ
幻は、見殺しにして帰ることだってできるだろうからな。
それをしていないってことは。
守るべき人間だということ。
なあ、幻。そうなんだろ?
「残念だな。君、もっと頭いいと思ったよ」
「バカで悪かったな。俺が人よりできるのは、せいげい受験に必要な科目くらいの。この場には全く役に立たないことだ」
俺の返答を聞いた木良は
ハハ、と声に出して笑った。
「そのとおりだね。やっぱり君は嫌いじゃない」
「そうかよ」
「それから、あのイカれた子供も」
「……燐のことか」
「なにからする? いきなりロケット花火でも、いーよ」
「ぜってえやらせねえ」
「はあ。ノリ悪いな。だから、余計な客は呼びたくなかったんだ」
スキだらけのようで、まったくスキがない。
これじゃライターを奪うどころか一歩も動けない。
「……お前。なにやったんだよ」
ミノルに、問いかける。
すると、
「幻を、ハメた」
ミノルでなく木良が、答えた。
「……幻を。ハメた?」
「ミノルくんは。出会う前から。幻が、憎かったんだよね?」