総長さんが甘やかしてくる③


ミノルを見ると、首を横に振っている。


「はあ。命乞いしても無駄なのに」


木良は、眠そうに続けた。


「ミノルくんは。羅刹と裏取引をしていた」


……裏取引?


「爽やかくんって顔して。女の子からお金、搾り取れるだけ搾り取ってさ。その金で。ドーピング、してたんだよね」


…………!?


「薬を用意したのは、羅刹の人間。その秘密を知るヤツには。当然ミノルくんは逆らえない」


木良の話が本当だとして

どうしてこんなクズを

幻は、守ろうとする?


「俺は」


――――!


幻が、口を開いた。


「木良は、俺を恨んでいるとばかり思っていた」

「違うよ、幻。僕は君を恨んではいない」


カスミが言っていた勘違いというのは、これだったのか。


「いいや、恨んでいたのかもしれない。だとしても。これは君のせいじゃない。僕自身の問題だ」
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