総長さんが甘やかしてくる③

木良は、幻を見限ってチームから抜けたわけではなかった。


逆だ。


「あのときの君は。見るに堪えないくらい、傷ついていた。それを隠してはいたけどね」


木良は羅刹を徹底的にぶっ潰し

ミノルに地獄を味わわせるために、黒梦を抜けた。


黒梦こ副総長としてでなく。

木良、個人で復讐を始めた。


「君の仲間に邪魔されないように。そっちはそっちで揉め事でも起こしておきたかったんだけど」

「霞を使ってか?」

「うん」


カスミを幻に近づけたのは、引き止めるためで。


「でも、失敗しちゃったんだね。まあ。あの子は悪さができないから。仕方ない」


自分のチームの姫まで駒にしたってのか?


「お前は。霞が俺の女になればいいと思っているんだな」


――――!


「俺は。あいつの気持ちには応えられない」

「……かわいそーな、かすみちゃん」

「お前が、守ってやれ」


どういうことだ?

カスミを駒にするような男に、そんなこと言うなんて。


「生憎だけど。あの子は、そんなことは望んでない」


――あの子は、望んでない


(まさか。木良は、カスミのこと。本気で……)


「幻がここにくるのは、想定内。ただ。仲間までかけつけるのは、予想外。プランCでいこう」


――プランC


「みんなで花火大会」
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