総長さんが甘やかしてくる③
……愁さんのために胸を大きくする燐さん。
相変わらず漫才みたいな会話がツボです。
もちろん、冗談だよね?
ほんとに大きくしないよね!?
「やっといつものユウちゃんに戻った」
――!
自分の心が、さっきより落ち着いてきていることに気づいた。
「なにかあった?」
心配して顔を覗き込んでくる燐さんの髪が――。
「えっ。ピンク」
「嘘でしょ。今気づいたの?」
「……はい」
「ほんとに大丈夫?」
どうやらわたしは、
燐さんの髪色の変化に気づかないくらい、ボーッとしてしまっていたようだ。
「今日はアキバで新しいパソコンを手に入れて。そのあと、美容院でヘアカラーしてきたんだよ〜」
「パソコンいいの見つかったんですね!」
「うん。けっこうオマケしてもらえちゃったー」
値引きがきいたってことかな。
それとも付属品のサービス的な?
いずれにせよ、燐さんは買い物上手そうだな。
「根本までしっかり抜いてきたよ。この色、綺麗だけど維持が大変なんだよねー」
「そうなんですか?」
「ブリーチってヘアカラーより手間もお金もかかるし。頭皮痛いし。めちゃくちゃ傷むんだ」
燐さんのニューヘアスタイルは、銀にピンクメッシュが入っていて可愛い。
サラサラしていてそんなに傷んでいるようには見えないけど、意外とダメージあるのか。
「素敵です。カットもしたんですね!」
「は? 長さ変わったのか?」
愁さんが、燐さんを見る。
「全体的にすいた感じですよね。一番長いところの毛先の長さはほとんど変わっていないので、そういう意味では変化ないかもですが。全然違うヘアスタイルだと思います」