総長さんが甘やかしてくる③


「そうそう。重めだったからシャギー入れたんだ。襟足は長さキープしてさ」

「あんま変わってねぇな」

「はあ。愁の目は飾りなのかな」

「なんだと?」

「フシアナ。無頓着。鈍感」

「うるせーわ」


そう言いながらも、愁さんが、どこかバツの悪そうな顔をしている。


「愁のバーカ」

「拗ねんなって」


そっか。

燐さんは、愁さんに髪型の変化に気づいてもらいたかったんだね。


「あの、燐さん。あれは?」


見覚えのない紙袋を、発見。

それも1つじゃない。

大きなのが3つ。


「服」


燐さんは既に洋服をたくさん持っているのに追加であんなに買ってきたことに驚いていると、

「新しいの買う前に、うちにあるゴチャゴチャした荷物どうにかしやがれ」

ため息をつく愁さん。


「だってー。今欲しかったんだもん」

「ったく」

「ていうか。1つは、愁へのプレゼントだよ?」

「俺に……?」

「いつも似たようなの着てるからねぇ」


 愁さんは、シンプルな着こなしをしている。

 燐さんのように原色だったり猫耳のついたパーカーだったりするような、個性の強い服は着ていない。

 暗いトーンのシャツや落ち着いた色合いのジャケットを羽織ると途端に大人びて。

 大学生通り越して社会人にだって見えますって言ったら嫌な顔されてしまうだろうか。


「俺は敢えて服に金かけてねーから、いいんだよ」

「そういうわけにはいかないよ。ダブルデートするんだから」

「は?」


(だ、ダブルデート……!?)

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