総長さんが甘やかしてくる③


不意にカスミを抱き寄せた、木良。


「羅刹は滅ぼしちゃったけど。君が僕のお姫様なのに変わりはないからね」

「……はあ?」


状況が呑み込めず、目を丸くさせる霞。


「ちょっと。なに言ってるかわかんない――」

「もう。隠すのはやめようかなって」

「なにを?」

「さあ。なんだと思う?」

「知らないし。は、離して」

「いやだ。僕と花火、しようよ」

「ええ!?」

「懐かしいねー。君に、やりたくもない花火に付き合わされたの昨日のように覚えてるよ」

「やりたくもない花火とかいうなら。放っておいてよ!」

「なあ。カスミと木良って。昔からの知り合いなのか?」


問いかける愁に、


「あたしたちは、ほら。腐れ縁ってやつだよね、木良?」


すかさず答えるカスミ。

木良との仲を愁に誤解されたくないように見える。


そんなカスミの態度が気に食わないらしい木良は――


「そうだよ。カスミちゃんと僕は。死ぬまで、ずっと一緒」


含み笑いして答える。
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