総長さんが甘やかしてくる③
「謎に四角関係が勃発しちゃった件」
やってきた燐が、俺の隣に座る。
「ハイ」
差し出されたのは、パピコ。
「はんぶんこねー?」
「ああ」
「ボクからあげるの、初めてだね。いつも幻にもらってばかりだから」
振り返り、ため息をつく燐。
「カスミってさー。愁のこと絶対好きになったよね」
「そのようだな」
それが、どんな好きかは俺にはわからないが。
兄貴分としてなのか。
それとも、男として好きなのか。
「すごくない? なに食べたらあんなに発育よくなるのかな。あのカラダで落ちない男。普通、いないよね〜」
「愁は人をカラダで判断するような男ではないだろう」
「いやいや。愁とて思春期の男だからね。ましてやチェリーくん。ヤバいってアレは」
「その割に協力的じゃないか」
「あー……、まあ。あんな堅物に積極的に近づいてくる子なんて。最初で最後かもしれないし?」
「木良も。本気を出したようだな」
「はやいとこ木良とカスミがくっついてくれればなー。って、アイツ仲間にするの?」
「ああ」
「そっかー。なんかボクと同じニオイするんだよね、あのひと。人を人と思ってないところとか。やるなら、徹底的にいたぶりたいところとか」