総長さんが甘やかしてくる③
「……そう、ですか」
「夕烏」
「はい」
「霞と、電話で話したそうだな」
夕烏が戸惑いを隠せない様子でいるのを見て、それだけ不安にさせてしまったのだと理解する。
「霞は。今住んでるとこのオーナー、菊地さんの娘で」
「そうだったんですか……! さっき、腐れ縁って聞いて。木良さんの幼なじみなのかなって思ってたんですけど」
「ああ。家を出た俺にあの部屋を紹介したのが、木良だった」
「なる、ほど」
「台風の夜。俺を訪ねてきた霞を部屋に泊めた」
「……っ、そうなんですね」
「元は、あの部屋は霞の隠れ家みたいなものだった。俺はオッサンの部屋で眠り。カスミがまたあの部屋を使うってなら、俺が出ていくと伝えた」
「幻、さんが?」
「元々、長居するつもりもなかった。だけど、甘えて世話んなってた。おそかれはやかれ出ていくつもりだった」
「それで。これから、どうするんですか」
「さて。どうしようか」