総長さんが甘やかしてくる③
「愁さんの家に、きてください」
「……愁んとこに?」
「みんなで決めたんです。幻さんを呼ぼうって」
「皆も納得してるのか」
「もう一人増えたくらい、どうってことないそうです。幻さんは部屋を散らすこともないし。ゴミの分別も完璧だから問題ないと言ってました」
俺のいない場所で
そんなこと話し合ってくれてたんだな。
「来て、くれますか?」
「愁に甘えるとするか」
「ほんとですか!」
「お前と住む場所が決まるまでのあいだ」
「……はいっ」
嬉しげに夕烏が微笑む。
「っ、幻……さん?」
「信じてくれてありがとう」
抱き寄せた夕烏が、
「やっと。触れてくれた」
そんなことを囁いて。
「顔。見てくれた」
泣きそうになっているのを見て
もっと力強く抱いてやりたくなる。
だけどそんなことをすれば
壊れてしまいそうで、怖い。
「不安にさせたな」
「大丈夫、です」
「お前を愛しているという気持ちに。嘘はない」
「はい」
「他の女は、見ていない」
「っ、はい……」
「心配かけちまったな。色々と」
「いいんです。こうして。……また、一緒に過ごすことができましたから」