総長さんが甘やかしてくる③
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「あの依頼、進めなくていいんですか」
「どの依頼だ」
某探偵事務所には、
今日も小さなことから大きなことまで案件が持ち込まれていた。
中でも、ここ最近
もっとも助手を驚かせた依頼は――
「失踪した少女が暴走族に救われたなんて。なにがあるかわからないものですね」
あの事件の関係者からの、暴露。
「進めるもなにも。依頼人には頼まれた通り、居場所や関係者などの情報は伝えたんだ。スピードも正確さも十分だったろ」
「さすがは元暴走族。いや、元総長。昔のツテがあったからこそ、その界隈の情報に強いんですよね?」
「なんにせよ。ここから先は、俺の出る幕でもないだろ」
「本当に警察に言わないつもりですか。……真実を」
「もがけばいいさ」
「まったく。センセイは」
少女は、わかっていた。
探偵が無責任にそんなことを言ってはいない、ということ。
出る幕でもないと言いながら見守っていることを。