総長さんが甘やかしてくる③
「……まさか。試したんですか」
呆れ顔を見せる、助手。
「金をはたいても探し出したい、命には代えられない――という気持ちが表れていた」
「相当追い詰められた顔してましたもんね。妹さんがいなくなって」
「救われるべきなのは。一体誰なんだろうな」
「はい?」
「少なくとも失踪少女は。前に進めたらしい」
「……センセイ。もしかして。見守るどころか、お節介、焼く気では。というか。既に個人で関わっちゃったりなんかして――」
「さて。なんのことだか」
「とぼけても無駄です」
「まあ。お前もう共犯だけどな?」
「……っ!」
探偵が、愛おしそうに助手を見つめ頭を撫でる。
「常識にとらわれて大切なもん失うくらいなら。そんな常識、捨ててやる」
総長さんが甘やかしてくる③/完