総長さんが甘やかしてくる③


パチリと可愛くウインクする燐さんに対し

うーんと頭を悩ませる、愁さん。


「俺たちでユウを守るのには、賛成だが」

「なにが不服なの」

「お前が女子トイレに入っていくのも。女の格好したお前とカップル装うのも……」

「じゃあさー。仮にハゲとかヒゲを呼んだらって考えてみてよ」

「アイツらを?」

「それなりにボディガードにはなるだろうけど、悪目立ちしちゃうと思わない?」

「……近寄りがたいオーラしか出てねえな」

「そうだよね? その点、愁は優等生オーラ出せるからいい感じにカモフラージュできる」

「どうにかならねーの? それこそ、お得意の変身とやらで」

「できないこともない。けど。お金請求するよー。使ったコスメ代と技術料。あと、衣装のコーディネート代!」

「お前ってやつは」

「幻と愁なら、喜んでセットアップしてあげる。もちろんタダでいいよ♡」

「だからって……俺がお前と、デ…………」


苦渋の選択を迫られた、愁さん。


「喜ばなくていいよー?」

「誰が喜ぶかよ」

「キミの大切なユウちゃんと幻のデートが実現して。可愛いボクともデートできてー。みんなでユウちゃんのことも守れて、メリットしかないねぇ」

「……ユウは、そんなんでいいのか」

「え、わたし!?」

「せっかくのデートが。結局俺たちまで参加しちゃ、ムードもクソもねーだろ」
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