総長さんが甘やかしてくる③
(ムード……?)
「四人でお出かけ、絶対に楽しいと思います!」
みんな揃うだけでも、嬉しいのに。
いつも行かないような場所に出かけたり、普段しないことをするなんて最高です。
「ユウちゃんがこう言ってるんだから問題ないよー、愁。どこに行こうかな〜」
ただ、今は。
あんまり楽しいことを考えられないかもしれない。
「お前が一番楽しむつもりじゃねぇだろうな」
「そりゃあ。愁との二回目のデートだし」
「カウントすんな。一度もしてない、一度も」
愁さんと燐さんを見てると、元気がでる。
それでも――……
【二度とツラ見せんな】
サトルさんが、幻さんを、殴った。
それは、あまりにも突然の出来事で。
二人が揉めたこと、まだ信じられない。
なんで。
なんでなの?
「……顔色悪いぞ、ユウ」
愁さんに頭をポンと置かれ、ハッとする。
「あー、愁。そんなことしてたら幻に手首落とされるよ」
「こえーわ」
なにも説明してくれなかった幻さんに、こっちから事情を聞いていいのか、わからない。
「なんでも話せよ、ユウ」
――!
「そうそう。お仕事の愚痴とかでも聞くし〜」
「そ、そんな。愚痴なんてありません。本当に、よくしてもらってます」
「じゃあなにー?」