総長さんが甘やかしてくる③
それから燐さんと愁さんに
宗吾さん――表向きは兄的存在の男が職場にやってきたことを伝えた。
「へえ。いつもと違う格好してきたんだ。計画的だね」
「気に食わん。だいたいどうやって見つけたってんだ」
「んー、現状ニュースや情報サイトでは“失踪少女”に関する噂はデマしか飛び交ってないね。真実に近づいてない。むしろいい具合に捜査を撹乱させてる」
買ったばかりのノートパソコンを手慣れた様子で扱う燐さん。
セットアップしてインターネットにもつないだようだ。仕事がはやい。
「そりゃ都合いいな」
「まあ。ボクの仕業だけど」
「は?」
「種をまいておいたからね」
「……警察の手を煩わせてるのお前かよ。いつの間に」
本当は、しちゃいけないことだけれど。
燐さんの配慮にとても救われている。
「でもね、ひとつだけ」
(……?)
「失踪した夜にファミレスで柄の悪そうなやつといるとこ見たかもってSNSの書き込みがあった。そのファミレス、ボクらがたまに利用するから、そのハナシだけは信憑性高いかなとも思うんだけど」
…………!
「身に覚えある?」
「行き、ました」
あのときは、まだ、マスクもしてなかった。
あまりお客さんのいない時間帯ではあったけど、ゼロではなかった。
「……そこからバレたんでしょうか」
「あり得るねえ」
「そんな……」
「まあ、もう消されたけどね」