総長さんが甘やかしてくる③
「言いたいことがあるならハッキリどーぞ」
「ユウのこと傷つけてどうする」
ソファに寝転がる燐を上から見下ろす。
「だから言ったのに。愁と二人にしてって。それでも聞くって言ったのはユウちゃんだからね」
そりゃあ、燐の気持ちを聞きたがったのはユウだけどよ。
『どこかで悲劇のヒロインぶってるように見える。それに冷めてるボクがいる』
あんな厳しいこと言われたらへこむだろ。
もっと言葉選ぶなり。二人にしてって言わずに二人になったときに話すなり、方法は、あったはずだ。
お前なら優しくできたはずだろ?
なのに。敢えてあんなこと言うなよ。
「みんながあの子を甘やかしていても仕方ないでしょ」
「……お前のパンチは強力すぎる」
「強くなってもらわなきゃ困るからね。ボクの言葉にいちいちメンタルやられてるくらいじゃ、この先ぺしゃんといくよ」
わかってる。
だけどそれでも、ユウの傷ついた顔は見たくないと思う俺はぬるいのだろうか。
「宗吾は、ここ数日異様な動きを見せている」
「……なんだと?」
燐は普段はどこでなにをしているか、わからないようなやつで。
うちの外でなにをしているか把握できたもんじゃない。
(ユウの家の人間の動向探ってやがったのか?)
「宗吾の銀行口座から、頻繁に金が引き出されてるんだ」
「……金?」
「うん。それも、ユウちゃんが失踪した直後からね」