総長さんが甘やかしてくる③
どうしてそんな情報を持っている。
いつ気づいた。
「宗吾は金遣いがそれほど派手じゃないらしい。なのに、子供の頃からこつこつ貯めていたものを今のタイミングで使い始めてる。これって明らかに異変だと思わない?」
「その金で個人的にユウを探し出したって考えてんのか、燐は」
「せいかーい」
「どこから宗吾の口座の情報なんて」
「ちょうどオトモダチがその銀行の、そこそこ偉いひとでね。お願いして覗いてもらったんだ」
燐は俺の家に来る前に多くの人間(主に金で燐を飼うような女たち)との縁を切ったようだが、そのあたりの使えるツテやコネは、ちゃっかり残してあるらしい。
「宗吾は、うまくいけばボクたちの仲間になる。ただし下手すりゃおばさんよりも厄介な人間さ」
「ユウを取り返されるってことか」
「そういうこと。カレの愛にユウちゃんは全然気づいてないんだと思うなあ」
「愛と呼ぶには歪んでねーか」
「狂った女から生まれた子供は、やっぱり、どこか狂うものなのかもねー」
「同意したくはない話だな」