総長さんが甘やかしてくる③


燐はユウに宗吾のことをわからせたいのか?


だとしても。さっきのは……。


「もう少し優しくしてやれって」

「いやだ」

「…………」

「でも愁、よく我慢したね。途中で口塞がれるかなと思ったんだけど」


そりゃあユウのことは傷つけたくないが。


「お前も考えナシで物を言うわけじゃないだろう?」


俺たちの目的は完全に一致している。


――姫を守る。


それが燐のやり方だというなら見守ることも大事なわけで。その度合いが、さっぱりわからなかったりする。


「はは。信用されてるんだね、ボク。気分だけで言ったとは思わなかったの?」

「信用してる」


俺の言葉に、燐が目を見開く。


「してなかったら、今ここにお前いないだろ」

「あー。愁くんは、またそんな男前なこと言う」

「厳しくするのはユウのため、か」

「もちろんさ」

「損な役だな」

「ボクのことは愁が一番にわかっててくれれば、それでいーよ」


燐の言葉に頷きかけたが、そこまで彼を縛っていいものか俺にはわからない。

燐が懐いてくれて嬉しい。

俺も仲良くしていきたい。


だけど依存させたいわけじゃない。

いや。


(わっかんねえ)


「宗吾はさ。ユウちゃんの帰りを待ってるよ。あの家で、カレは孤独なんだ」

「だとしてもユウは帰る気ねえよ。幻といたいんだ」

「どうかな」

「……?」

「ユウちゃんが上の空な原因。一番の原因は宗吾じゃなくて幻なんじゃないかなって思う」
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