総長さんが甘やかしてくる③
「ビックリだね。鬼の総長様が殴られちゃうなんて」
「…………」
「きっと幻、よけなかったんだろうね」
そう言われてみれば……。
まるで、殴られるのを覚悟していたみたいだった。
「下げていました。頭を」
でも、おかしいよ。
電話で幻さんとサトルさんが話してたとき、幻さんは自己紹介をしていて。
サトルさんは、幻さんの顔を見てみたいなって言ってた。
だから二人が前からの知り合いだとは思えない。
「いくら考えてもわかりません」
どうしてあんなことが起きたの。
止められるものなら、止めたかった。
「ボクの知ってることでよかったら話そうか」
「お願いします」
パソコンを少し操作したあと、おいでと呼ばれ。
うつ伏せから座った状態に体勢を変えた燐さんの隣に座るように言われた。