総長さんが甘やかしてくる③


「ボクはそこまでサトルのことは知らないんだ。向こうもボクのこと何者か知らない。ただの顔見知り」

「そうなんですか」

「サトルの話はスミレから聞いたことしかわかんない。だからサトルが暴走族を嫌いだってことは知ってても。なんで嫌いなのかまでは、知らない」

「サトルさんが暴走族を……」

「毛嫌いしてる。アイツの前でその単語はタブーらしいよ」


そういえば羅刹がお店にきたとき

営業中に迷惑をかけられたから怒ったというよりは、存在そのものを否定していたような。


「そこんとこ。探れそうなら探ってみてよ」

「わ、わたしが?」

「もちろん。ただの顔見知りのボクより、弟子のユウちゃんの方がサトルは自分のこと色々と話してくれるだろうから。それにボクはまだ暴走族のメンバーってサトルに知られてないけど、知られたら口もきいてもらえないかもなあ」


燐さん、暴走族って雰囲気しないもんね。


「幻とのわだかまり。なにが原因だろうね?」

「…………」

「っていうかさー。まわりくどいことしなくても、幻から直接聞いてもいいよ?」

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