総長さんが甘やかしてくる③
「……っ、わかった。兄さん」
これでいい。
俺の話をまんまと信じ、戸惑う優吾は
俺と違って純なやつだ。
こう言っておけば、これ以上は掘り下げてくることはない。
「それで? あの女は怠けているのか」
「な、怠けてるって。そんな言い方しなくても。母さんは……あの子がいなくなって。心労も重なって――」
「黙れ」
「っ、」
細い手首を掴むとビクリと身体を震わせた優吾。
「相変わらず女みたいな顔をしているな」
俺を見上げる黒目がちな瞳が揺れている。
こんな弱々しい生き物と同じ血が流れていると思うと虫唾が走った。
「お前はあの女の犬だが。俺の犬でもあるんだ」
「わかってるよ、兄さん」
あっさり俺に屈服するような弟
……いらないんだよ。
優吾には言わない。
言うわけがない。
夕烏を見つけ出したということを。
なぜなら、俺は――。
「兄さん。ご飯は?」
「部屋でとる。持ってこさせろ」