総長さんが甘やかしてくる③
わたしが知ってるサトルさんのことって、なんだろう。
「『THE職人』って感じです」
「んー、そのまんまだね」
「とても真面目です。一生懸命な人です。あ、でも、よく……サボります」
「それ矛盾してない?」
「ええっと。なんていうか、やるときは全力で。気を抜いていいときはとことん抜いてる感じですかね」
「要領いいんだねえ」
「そうなんです!」
まさにそれが言いたかったんです燐さん。
「手先が器用で。最初は口が悪くてちょっと怖かったけど、今はすべてが優しさに聞こえるというか」
「ツンデレ気質だよね」
「あ、恋愛相談も乗ってくれました」
「サトルが恋愛相談?」
「はい。最初は乗り気じゃなかったし。わたしが一方的に話しちゃった感じでしたが、なんだかんだ、ちゃんと全部聞いてくれて。相づち? というか、ツッコミ上手で。嬉しいことも、言ってもらいました」
サトルさんって、会話のノリがどこか愁さんに似ている。
「愛されてるねー」
「だと、いいんですけど」
「間違いないよ。かわいくて仕方ない弟子なんだろうね」
「わたしが見つからないように、仕事内容を変更可能してくれてました。休んだときは心配もしてくれてました。宗吾さんがきたときは――」
『俺の弟子さらうなんざ。いい度胸してんな、ぼっちゃん』
「盾になってくれて。“俺の弟子”って言ってくれた」
「へえ」
「それが。本当にっ……嬉しくて……」