総長さんが甘やかしてくる③
さっき、三人で重い話をしてしまったから
いつも通りの三人に戻れて、ほっとする。
「わたし、部屋に戻りますね」
「もう大丈夫なのー?」
「元気でてきました」
「ふーん」
完全復活には程遠いけれど、二人がいてくれて本当によかった。
部屋に戻ると携帯を手に取る。
電話、してみようか。
幻さんに。
お疲れのところ話させるのは申し訳ない。
眠っていて、起こしちゃうかもしれない。
それでも、話が、したい。
声が聞きたいよ。
そうこう考えているうちに時間だけが経過していく。
遅くなればなるほど、電話するのを躊躇う。
(幻さん……)
わけが知りたい。
でも今は、ひとことだけでいい。
おやすみって。言い合いたいな。
大好きな人の声を聞いて安心したい――。
【着信:幻さん】
(……!?)
奇跡が起きた。
幻さんのことを考えていたら電話がかかってきた。
なにこれ。
タイミングすごい……!
いや、まあ、ずっとスマホ見てたし。
幻さんのことを考えている時間は一日のうちすごく長いけど。
奇跡は大げさだった。
画面をタップさせ、電話に出る。
「もしもし」
『こんばんは』