総長さんが甘やかしてくる③


その言葉に、自分でも驚く程に気持ちがこもっていた。


よかった。

わたし、まだ、大丈夫みたい。


(愁さんが落ち着かせてくれたおかげだ)


「混ぜて混ぜてー」


開けていた扉からひょっこり覗いてきたのは、燐さん。


「謎解きならボクに任せて?」

「燐さん……」


今の会話、聞いていたみたい。


「ねえ、愁。幻に女友達っていた?」


部屋に入ってくると、断りなくベッドに腰掛けた。


「いや。俺は心当たりねーな」

「ボクは、ともかく。ボクより付き合いの長い愁が知らないってなると、総長になる前の知り合いかも」

「幻に? 想像できねぇな。だいたいユウというものがありながら、会うか?」

「なにか事情があるか。押しかけてきたか」


二人の方がわたしよりずっと冷静に状況を判断できている。


少しも幻さんへの信頼が揺らいでないのを見て、頭が真っ白になったのが恥ずかしくなる。


二股って言われて

他に好きな子がいるのかなって。


シャワーってきいて、よくわからない不安に襲われて。


どうしようって、パニックになった。

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