総長さんが甘やかしてくる③
霞は、俺にとって、大切な存在には違いない。
だけどその気持ちは恋じゃないと。
あの頃の俺がわからなかったことが今なら理解できた。
「すまない」
「……え?」
「今更言うことではないのかもしれない。だけど俺の我儘を聞いてほしい」
「やだ。なに、幻、改まって」
「ずっと味方でいてくれてありがとう」
霞の頬が染まっていく。
「ほんと。今更すぎるね」
「嬉しかった。だが、それをうまく伝えられなかった」
「キャラ変わりすぎ。なに考えてるか全然わかんないやつだったのに」
「俺が変わったのだとしたら。夕烏に出会えたおかけだ」
「へえ。すごいね。その子に謝っておいてよ」
「謝る?」
「さっき、幻の電話からかけて。イジワル言っちゃったからさ」
「それはお前じゃなくて俺の責任だ」
「え?」
「すべては俺が招いたことだからな」