総長さんが甘やかしてくる③


霞は、俺にとって、大切な存在には違いない。


だけどその気持ちは恋じゃないと。


あの頃の俺がわからなかったことが今なら理解できた。


「すまない」

「……え?」

「今更言うことではないのかもしれない。だけど俺の我儘を聞いてほしい」

「やだ。なに、幻、改まって」

「ずっと味方でいてくれてありがとう」


霞の頬が染まっていく。


「ほんと。今更すぎるね」

「嬉しかった。だが、それをうまく伝えられなかった」

「キャラ変わりすぎ。なに考えてるか全然わかんないやつだったのに」

「俺が変わったのだとしたら。夕烏に出会えたおかけだ」

「へえ。すごいね。その子に謝っておいてよ」

「謝る?」

「さっき、幻の電話からかけて。イジワル言っちゃったからさ」

「それはお前じゃなくて俺の責任だ」

「え?」

「すべては俺が招いたことだからな」

< 88 / 272 >

この作品をシェア

pagetop