総長さんが甘やかしてくる③
「×××くん、隣の中学の不良とタイマンしたんだって」
「一人で十人倒したんだろ。それも自分は無傷で」
「あたし十五人って聞いたよ」
「目を合わせたら最後だって」
気づけば俺にまつわる噂が蔓延していた。
でっち上げも多かった。
俺が地元の不良から恐れられていたのは事実だ。
大人数相手だろうと、大人だろうと勝ち続けたのも嘘じゃない。
だけどそれは――。
「待てよ。肩ぶつけておいて無視はねぇだろ」
「ちょっ……お前そいつが誰か知らないのかよ」
「は?」
どれも向こうから仕掛けてくるわけで
俺は
「許してくれ!」
売られた喧嘩を買っていたにすぎない。