私と30センチの恋に落ちてください
そうやってなぜか考えた昼休みは、いつもより早く終わった気がして。
海斗くんを見れたからっていうのもあるかな?って。



でも、今日は海斗くんにとって大切な日。
午後の授業が終わるにつれ、受験が終わった私も心配していた公立の推薦発表が近づいてきた。
私の隣の席の友達が、海斗くんとは違う高校だけど推薦だったからなんとなく覚えてた。




なんとなくっていうか、自分から調べたんだけど。


「頑張ってね!明日」


明日海斗くんに、バレンタインのチョコを渡すことを知っている友達が意味深な感じに私に声をかけた。



「推薦なん?」



そうやって他の知らない子から聞かれて、ちょっと焦ったけど今日は推薦の合格発表で、どうにでもごまかせてよかった。


だけど、海斗くんもだから他人事になぜか思えなくて。


友達に頑張ってと軽く応援しつつも、心の中では友達も海斗くんも本気で応援する。




その推薦の人を待てないから、2組の前でさらに本気で合格を願う。


そのとき、助けを求めたような目をした海斗くんと、パチッと目が合った。
一瞬だった。






全ての偉大な恋愛のうちには母性愛がある。
真の女らしい女たちが男の力を愛するのは、
男の弱さを知っているからである。





私が真の女らしいかは知らないけど、この言葉の意味が分かった気がした。


男の弱さを知っているから。


海斗くんの弱さを知ってからが、ちゃんとした恋が始まった気がした。



家に帰っても、頭にあるのは海斗くんのあの顔。

受かってる、それしか考えられないような頭のいい人なのに、不安になるってことは出来なかったんじゃなくて、努力したんだなって。




そして土曜日を迎えた。


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