私と30センチの恋に落ちてください
私の家に行くと、友達が温かいココアを飲みながら、そういえばと話し始めた。



「那須くんの恋バナしてたじゃん?」



那須くんの恋バナ。
私がそれを見たのは、結構最近だった。


というか、私がその教室に入ることでそんな恋バナもサッカーの話題に逸らされたんだけど。




「あの、本人のいない恋バナでしょ?」




そう、本人はいなかった。
本人の周りの人だけで、海斗くんの恋バナをしてた。
不思議すぎて、そっちが気になって、内容まではよく分かんなかった。




「あれさ、おかしくない?」




おかしい、私もあの時そう思った。
おかしかった。


私がその教室にきて、急に恋バナを止める必要なんてなくて、そのあと私の顔色を伺う必要なんてなくて、私が教室に入るたびに恋バナをしてた人たちが、海斗くんの顔色を伺う必要なんてなくて。


全ての周りの行動が、最近おかしくて。




「那須くんがなつのこと、好き以外ありえなくない?」




自意識過剰かもしれないけど、私も若干そう思ってた。


よく渡す勇気あるねって言われるけど、ちょっとでも自信がなきゃ、振り向かせたいっていう強い気持ちでもないとそんなことしないし。



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