祈り
“キィッ……!”
錆び付いた扉を開ける。
朝日が身体に焼き付いた。
朝霧が肌を濡らす。
「あ…………」
「?」
声がしたほうこうを向くと
そこには藤森が立っていた。
「おはよっす」
「おはよう……」
この前の事もあって
私は気まずい顔をした。
失礼なのは分かってたけど
どうしてもその眉を上げられなかった。
「何処か行くの?」
「あー、うん。友達のうち」
「そっか……」
藤森は頬を掻くと、そのまま私の横に来た。
口はへの字に曲がっていた。
機嫌が悪いのかと思ってまごつく。
「ふ、藤森?」
「送るよ。一人じゃあれだろ?」
「へ、平気だよ!」
私は持っていたバックを握り締める。
何故か腕が震えていた。
「…………」
「遅らせて。暇なんだ」
藤森の顔は光がまぶしくて見えなかった。
けど、優しく笑ってる気がした。
「……うん」
この時は少し
自分がわからなかった。