祈り












「どうやって行けば良い?」
「えっと……じゃあ四丁目までで」
「分かった」

藤森はそう私が答えただけで
ギュンと速度を速めていった。
どんどんどんどん
私達の速度は加速する。
冷たい風が心地よかった。

「ふ、藤森っ……」
「ん?」
「この前は、ごめんね……」

私は俯いた。
掴んだ手を強めた。
少し口の中がしょっぱい。
涙の味だ。

「いいよそんなの」
「え?」
「だって、俺もああ言うと思う」
「…………うん」
「だから、そんなことで悩むな」
「……うん」

私は、今まで操り人形。
心がなくて
味方もいないと思ってた。

でも
私が見つけてなかっただけだったんだ。
こんなに優しくて
こんなに温かい人たちが
私の周りに入るんだね……。

何でも恋愛とかに繋げちゃいけない。
ただ嬉しかったんだよね?

「……藤森」
「ん?」
「ありがとう」


















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