祈り
「あ、ありがとう。ここで良いよ」
“キュッ”
悲しいほどドキドキしていた。
この道を曲がって三軒。
憂鬱だと感じてしまう自分がいる。
だめ、あんなに世話になったのに。
裏切るような事は、出来ない。
何様なんだ……。
「ごめん」
「ううん、ありがとう」
「……あのさ」
「?」
藤森は私を真っ直ぐ見て笑う。
顔に何か付いてるかと思ってこする。
それを見て、更に彼は笑った。
「?、??」
「ははははは」
「え、何?」
「じゃあな」
自転車の横に立つ。
お腹が寒い。
藤森は片手を挙げてまた笑った。
「……ばいばい」
「学校でな」
ドキドキして
眼を閉じた。
彼とは違う響きを感じる。
だけど、心地よかった。