祈り
“ピンポーン”
チャイムを鳴らす。
何度見ても大きい家には圧倒される。
ハリウッド映画みたいだ。
「どちら様でしょうか」
「あ、先日来た山崎美貴ですっ」
「あら、一哉さんがお待ちですよ」
“ガチャッ”
「お二階の奥にいらっしゃいます」
ニコッと笑ったお手伝いさん(?)は
私の腰を支えて上がらせてくれる。
バイオリンの弦の音が聞こえた。
けど、この前とは違う旋律を奏でている。
私は不安を感じた。
殴るような、
うめくような
聞き覚えのある音だったから。