祈り













「……失礼します」

ドアを開けるといつもの場所に彼がいる。
眼の色が違うのが分かった。
怒ってるんだ。

「ごめんなさい、今日は……」
「何が?」
「え……」
「何気にしてんの」

足が震えていた。
あの時の感覚と同じだ……。
目の前がちかちかした。

「来て、ここ」
「あ、はい……」

ちらっと彼の顔を見ても
さっきとは違う。
柔らかいけど、強張っていた。















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